ESSAY
Vol.3 人魚姫 ある夏のハナシの続き
私の記憶の中でお姉さんは、いつも人魚姫だった。
お姉さんはいつも私の好きな紙人形の主人公、人魚姫だったのだ......
どうして私の記憶に、そんな風にずっと残っていたのかわからないが、
私は二つの紙人形だけを集めた。
私が本当に好きだった紙人形は、人魚姫とオーロラ姫だった。
沢山の種類の人形の中で、いろいろ集めればいいものを、
私は必ずその二つの人形だけを集めていた。
私の宝物箱には、同じ人魚姫とオーロラ姫うが80程、きちんとならべられていた。
作った紙人形が壊れれば、私は同じ紙人形を取り出して、お姉さんに作ってくれと頼んだ。
お姉さんは器用にはさみを使って、先に私にオーロラ姫の派手な服を作ってくれた。
その時私は、『もうちょっと大きくなれば、きっとお姉さんのように
器用にはさみを使えるようになるんだ』と思った。
お姉さんの小さくて白い指が、はさみと一緒に動く度に、
この世で一番美しいものが創造されるような気がした。
たぶんその時が、私が女になることに決心した最初の瞬間ではなかっただろうかと思う。
お姉さんと私の紙人形劇は、梅雨が過ぎ去ったのどかな夏の日、
日の光にきらめく床の上で時々吹いて来る喝采を浴びながら幕をあ
げた。
いつもきれいで素敵なオーロラ姫は私で、理解あるお姉さんは、
善良で悲恋の主人公のような人魚姫になってくれた。
オーロラ姫と人魚姫は時に美しい恋をした。
時には傷ついた悲恋の主人公になったりした…。
今日は映画の撮影の為に、マレーシアに向かう。
昨日は浜辺での収録で、暑くてくたくたになり、
休みが欲しいと思っていたのに、また外国での映画撮影。
フ〜〜大変だ。
でもこれが私の道と決めた時から、つらくても我慢して勝ち抜くしかない道選んだのだ。
たまにはこんなことも思う、 果して何が本当の幸せだろう、熱心に働く私とのんびり休む私と......
でも、こんな風に時々比べてみることができるだけでも、私は満足だ。
少しでも前を向かなくちゃ。
たとえ空港に出発する前だとしても......
[close]
Copyright 2007 Formula Recordings. All
rights reserved. |